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【完全版】オーストラリアでの雇用のための就労ビザ申請(種類、取得方法、必要書類・費用、期間など)

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オーストラリアは、海外からの高度人材の受け入れを積極的に推進しており、これまでにも数多くの就労ビザ制度を整備してきました。2024年12月には、より労働市場の需要に適した形へと制度が変更され、従来のTSSビザはSIDビザへ移行し、職業リストもSkilled Occupation List(SOL)からCore Skills Occupation List(CSOL)に改訂されました。また、Global Talent VisaはNational Innovation Visa(NIV)へと刷新され、オーストラリアのイノベーション分野を支える優秀な人材に向けたビザとして制度設計が見直されています。

これらの変更により、従来のビザ制度と比較して、職業の適合性や給与要件がより明確になった一方で、申請手続きが複雑化している部分もあります。そのため、企業側は適切な人材を確保するために、最新のビザ要件を正しく理解し、戦略的に活用することが求められます。本記事では、オーストラリアの最新就労ビザ制度について、種類ごとの特徴、取得方法、必要書類、申請費用、審査期間、企業が注意すべきポイントなどを詳しく解説していきます。

目次:

・オーストラリアの雇用のための就労ビザの種類
 - Skills in Demand(SID : 482)ビザ
 - Employer Nomination Scheme Visa(ENSビザ : 186)
 - Regional Sponsored Migration Scheme Visa(RSMSビザ : 187)
 - その他の就労ビザ(例:NIV : 858)

・オーストラリアの就労ビザの取得方法
 - SIDビザの申請プロセス

・オーストラリアの就労ビザの必要書類
 - 雇用者側が準備すべき書類
 - 従業員側が準備すべき書類

・オーストラリアの就労ビザの申請料金/費用
 - ビザの種類ごとの費用一覧
 - スポンサー登録にかかる費用

・オーストラリアの就労ビザ取得の期間
 - 各ビザごとの標準的な申請期間

・雇用主のためのオーストラリア就労ビザ取得のポイント
 - スムーズな申請を進めるためのヒント
 - 現地採用計画の立て方とビザ対応の注意点

・まとめ

オーストラリアの就労ビザの種類

Skills in Demand(SID : 482)ビザ

SIDビザは、オーストラリアのスキル不足を補うために設計された就労ビザで、3つのストリームに分かれています。Core Skill Streamは、オーストラリアの主要産業で必要とされる職種を対象としており、最低給与額は73,150豪ドルに設定されています。Specialist Skill Streamは、より高度な専門職向けのビザで、最低給与額は135,000豪ドルと高めです。さらに、Labour Agreement Streamは、オーストラリア政府と企業が個別に労働協定を結ぶことで発給され、より柔軟な就労が可能になります。

SIDビザは最大4年間の滞在が可能で、一定の条件を満たせば永住権申請も視野に入れることができます。特に、オーストラリア国内での就労経験が長い場合や、特定の地域での雇用を促進する制度を活用すれば、よりスムーズに永住権へ移行できるケースもあります。

Employer Nomination Scheme Visa(ENSビザ : 186)

ENSビザ(Employer Nomination Scheme Visa)やRSMSビザ(Regional Sponsored Migration Scheme Visa)は、より長期的な雇用を目的としたビザです。ENSビザは、雇用主により推薦された労働者がオーストラリアで永住するためのビザで、特に高スキルを持つ労働者に適しています。このビザを取得するためには、申請者が職業スキル評価(Skill Assessment)を受けることが必須であり、通常は3年以上の職務経験が求められます。

Regional Sponsored Migration Scheme Visa(RSMSビザ : 187)

RSMSビザは、オーストラリアの地方地域での雇用を条件としたビザで、地方経済の発展に寄与する労働者を対象としています。RSMSビザでは、地方地域に一定期間滞在する義務があり、雇用主が提供する職務内容が地方地域での需要を満たしている必要があります。このビザは地方地域に限定される一方、申請プロセスが比較的迅速であり、永住権取得が可能な点が魅力です。

その他の就労ビザ(NIV : 858)

NIVビザは、技術革新や科学分野で国際的に認められた実績を持つ高度人材向けのビザで、以前のGlobal Talent Visaに代わるものです。AI、バイオテクノロジー、フィンテックといった成長分野の専門家を対象とし、申請時には分野における実績を証明する推薦状が必要になります。また、一定の収入基準(おおよそ15万豪ドル以上)が設定されており、オーストラリアでの経済的な自立が可能であることも条件の一つとなっています。

このビザの最大の特徴は、永住権が直接付与される点です。通常の就労ビザとは異なり、短期の滞在を前提とせず、長期的なオーストラリアでのキャリア形成を目指す専門家向けの制度となっています。

オーストラリアの就労ビザの取得方法

SIDビザの申請プロセス

SIDビザの取得には、まず雇用主がオーストラリア政府からスポンサー認定を受ける必要があります。企業の財務状況が健全であること、合法的に運営されていることを証明するための書類を提出し、認可を受けることが求められます。スポンサー登録が完了した後、雇用主は職種を指定し、労働市場テスト(LMT)を実施して、オーストラリア人労働者の確保が難しいことを証明します。

その後、申請者が必要書類を揃えてオンラインでビザ申請を行います。健康診断や警察証明書の提出が必要になる場合もあり、審査期間は通常2〜6か月程度となります。審査の過程で追加資料の提出を求められるケースもあるため、余裕をもって準備を進めることが重要です。

オーストラリアの就労ビザの必要書類

雇用者側が準備すべき書類

雇用主がスポンサーとして認定を受けるためには、以下の書類を準備する必要があります。- スポンサー登録証明書(企業が認可を受けていることを証明)


– 事業登録証明書(ABN・ACN登録)
– 財務報告書(直近の決算報告など)
– 労働市場テスト(LMT)関連書類(オーストラリア人雇用が困難であることの証明)
– 求人広告の証拠(過去4週間以上、指定の媒体で求人を出していたことを証明)
– 雇用契約書(給与や職務内容を明記)

従業員側が準備すべき書類

ビザ申請者が提出する必要がある書類は以下のとおりです。- パスポートのコピー(有効期限が6か月以上あること)


– 履歴書・職務経歴書
– 学位証明書(職種によっては、オーストラリアの職業スキル評価が必要)
– 英語能力証明書(IELTSスコア5.0以上が基準)
– 推薦状(必要な場合)
– 健康診断結果(オーストラリア政府指定の医療機関で受診)
– 無犯罪証明書(日本および過去10年間に6か月以上滞在した国のもの)

オーストラリアの就労ビザの申請料金/費用

ビザの種類ごとの費用

就労ビザの申請には、申請者が支払うビザ手数料のほか、雇用主が負担するスポンサー登録料や追加の費用が発生します。以下、代表的なビザの申請費用を紹介します。

1. Skills in Demand(SID : 482)ビザ

  • 申請費用:3,115豪ドル

2. Employer Nomination Scheme(ENS : 186)ビザ

  • 申請費用:4,770豪ドル

3. Regional Sponsored Migration Scheme(RSMS : 187)ビザ

  • 申請費用:4,770豪ドル

これらの費用のほか、健康診断(200〜500豪ドル)、英語試験(300〜500豪ドル)、警察証明書の取得費用など、追加の費用がかかる場合があります。

スポンサー登録にかかる費用

雇用主が外国人労働者を雇用するためには、スポンサー登録が必要となります。スポンサー登録には以下の費用が発生します。

– スポンサー登録申請料:企業の規模に応じて420〜1,200豪ドル

– 研修・トレーニング費(Annual Training Levy):年間給与の1〜2%

特に中小企業にとっては、ビザ申請のコストが負担となるため、事前に予算計画を立てることが重要です。企業の規模や業種によって異なるため、オーストラリア政府の最新の情報を確認することをおすすめします。

オーストラリアの就労ビザ取得の期間

各ビザごとの標準的な申請期間

ビザの審査期間は、ビザの種類や申請内容、政府の審査状況によって変動します。以下は、代表的なビザの標準的な審査期間です。

1. SIDビザ(Skills in Demand Visa : 482)

  • 標準審査期間:2〜6か月
  • 特急申請(Priority Processing):4週間以内

3. ENSビザ・RSMSビザ(186・187)

  • 標準審査期間:6〜12か月

申請内容や書類の不備があると審査が遅れる可能性があるため、正確な書類を準備し、計画的に申請を進めることが重要です。

雇用主のためのオーストラリア就労ビザ取得のポイント

スムーズな申請を進めるためのヒント

オーストラリアの就労ビザは、適切な準備と計画が鍵を握ります。特に、スポンサー登録を必要とするビザの場合、企業側が早めに対応することで、申請のスムーズな進行が可能になります。申請書類の不備や遅延を防ぐために、以下の点に注意しましょう。

まず、労働市場テスト(LMT)を正しく実施することが重要です。LMTは、該当の職種においてオーストラリア国内で適切な労働者が見つからなかったことを証明するプロセスであり、正しく実施しなければ申請が却下される可能性があります。求職者向けの広告を政府指定の媒体に一定期間掲載し、応募状況を記録するなど、事前の準備が欠かせません。

また、必要書類を正確に揃え、申請前にチェックを行うことも欠かせません。企業側が提出する財務報告書や納税証明書、労働市場テストの結果報告などが不完全な場合、審査が遅れる原因になります。移民コンサルタントや弁護士に相談しながら、書類を適切に準備することが望ましいでしょう。

さらに、申請者のスキルがCSOLの要件に合致していることを確認することも重要です。職種がCSOLに掲載されているかどうか、最低給与要件を満たしているかなど、細かい要件を事前に確認しておくことで、審査の遅延や却下を防ぐことができます。

現地採用計画の立て方とビザ対応の注意点

オーストラリアでの現地採用を計画する場合、単に人材を確保するだけでなく、ビザ取得を見越した長期的な戦略が必要です。特に、SIDビザの適用を受ける場合、最低給与基準を満たすことが前提条件となるため、適切な報酬設定を考慮することが重要になります。

また、オーストラリア政府は地方の経済発展を促進するため、特定の地域での雇用を優遇する施策を行っています。例えば、Regional Sponsored Migration Scheme(RSMS)ビザを利用すると、都市部以外の地域で働く労働者に対し、永住権の取得が容易になるメリットがあります。そのため、地方での採用を計画する場合には、このような制度を活用することで、ビザの取得をよりスムーズに進めることができます。

加えて、ビザの更新や永住権申請に備えて、企業側が長期的な雇用計画を立てることも重要です。例えば、一定期間勤務した後に永住権申請のサポートを行うことで、優秀な人材の定着率を高めることができます。ビザの要件変更に対応しやすいよう、常に最新情報をチェックしながら、計画的に人材戦略を策定することが求められます。

まとめ

2024年12月の制度変更により、オーストラリアの就労ビザ制度は大きく変わり、SIDビザとNIVビザが主要な選択肢となりました。特に、SIDビザは3つのストリームに分かれており、職種ごとに要件が異なるため、企業は適切なカテゴリーを選択することが重要です。また、NIVビザは高度人材向けに設計され、直接永住権が付与される点が大きなメリットとなっています。

ビザ申請を成功させるためには、雇用主と申請者の双方が事前準備を徹底し、正確な情報をもとに計画的に進めることが必要です。特に、労働市場テストの実施、正しい書類の準備、給与要件の確認などがポイントとなります。さらに、企業の成長戦略に合わせて適切なビザを活用し、優秀な人材を確保することで、オーストラリア市場での競争力を高めることができます。

オーストラリアでの就労ビザは、今後も政策変更が続く可能性があります。そのため、最新の情報を常にチェックし、適切なビザ戦略を立てることが、成功の鍵となるでしょう。

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